テールライトのLED化計画(Dio編)

【何故かって?】

当然ターゲットはCB。
だってブレーキランプ付けるとニュートラルランプが消えちゃうし、ウィンカー出そうものならパネルの電気が消灯時間になってしまうのよ・・・。

だけど、いきなりは怖いから(場合によっては自分の命に関わるもんね)、最初はやっぱDio君の出番でしょう。
ってな訳で予定としては、
1)DioのテールランプLED化
2)LEADのテールランプLED化
十分に経験を積んでから最後に、
3)CBのテールランプLED化
といきましょうかね。

そうは言ってもLEDの光量なんて知ってる訳ないし、最近の信号機を参考に「20個くらいかぁ?」なんて適当に思う。
やっぱHPの出番だな。いろいろ調べてみると、日中の日差しに耐える範囲としてはウィンカーもテールランプも30個は最低必要らしい。

早速「秋月電子」に直行だ!(HPの事よ!)
あるは、あるは・・・・100mcd〜10000mcdまでズラッとあるは・・・。
1000ミリカンデラが1ルクスだから・・・程度が判んないや・・・・。

5000mcdが100本で1100円であったのでこれを買おうと秋葉へ。
しかし在庫切れで、千石電商へ。
パナソニックの1200mcdが100本で2980円。
なんか高い気がしたのだが、しかたなく購入する。

【抵抗値を計算する】
電圧:1.8V
電流:20mA
角度:20°
光度:1200mcd
波長:660nm
   やってみよう!→ 
供給電圧 直列個数 LED抵抗値Ω
LED電圧 並列個数 E24抵抗値Ω
LED電流mA 必要ワット数
12Vだから直列で6個が限界。
すると12−1.8*6=1.2Vの減圧が必要。
1.2/0.02=59.9Ω(E24で62Ω)となる。1/4Wの抵抗は100本で100円。(カーボン)

もうひとつ重要なパーツがレギュレータ。
微妙な電圧降下・・・・・どころじゃないのがバイク・・・・。
アイドリングになると見る見る電圧が下がるじゃん。
もうコンマ1ボルトがどうの・・・・なんて世界じゃないもんね・・・。
だからレギュレータは必須です。

テール部の電源は「常時」と「ブレーキ時」の2つが必要なので、3端子レギュレータも2つ用意します。
LM2940CT-12 280円*2

さて、このレギュレータ。
厄介なのは当然の様に電圧が下がってくれる事。
以前から思っていたのだが・・・なんでや!?

今回も事前テストをしてみると、
レギュレータなし(の定電圧):12.7V
INPUT側:12.25V
OUTPUT側:11.63V
介しただけで5%もダウンしてるぅ!!
まぁ、これで定格出力が得られるならガマンしますけど・・・・。(と、いつもそう納得させられている)

んで、これが厄介だと言う真骨頂はコレだ!
11.63Vとして計算すると20mA出すには40Ωでよいのだが、万一、12Vきっちり出てしまったら、40Ωだと30mAになってしまう。
つまりだ。LEDを破損してしまうではないか!
だから仕様は60Ωのままにして通常は14mAの出力でガマンしよう・・・ってな、どうにも納得のいかない結論になってしまうのよね・・・。
(でも入れなきゃ危険すぎるし・・・・)

当然レギュレータの前後にはコンデンサー噛まさないと意味ないから100uFの電解を前後に付ける。
電解コン:16V100uF 45円*4

【回路とパターン】

先ず、概略を方眼紙に書いてみる。結構綺麗に並ぶな。
んで、実際に基板にLEDを差してみる・・・・入らない・・・・間隔が狭すぎだ。
試行錯誤の上、最終的には下図の右側のように決まった。

完成回路図を分解してパターン別に表してみる。

まず大別して4パターン。
1:常時
2:ナンバー照射:常時
3:ブレーキ時
4:反射板照射:ブレーキ時

だから回路的には、
1:常時(ナンバー照射含む)
2:ブレーキ時(反射板照射含む)
になる。

LEDの電圧が1.8Vだから最大直列個数は6個。
ただし、ナンバー照射の白は3.6Vと丁度2倍だから赤2個+白2個の4個で同じになる。

構成は全部で7組。
6*7−2=40個になる。

この図をジーッと見ていると配列が見えてくるよ!

【製作】

先ずは実地検証から。
DIOのテールレンズを外して、ライトのひかり具合を見る。

う〜ん・・・・暗い・・・。
こんな光量でいいならもっと少なくてもいいかもなぁ。
でもまぁ、ブレーキだし、ケチると危ないし・・・。

ざっくりと寸法を測る。
上底120mm
下底90mm
高さ50mm

これなら十分なスペースだ!

電球を引っこ抜いてみる。
あれ?ソケットが無い。
ヘンな形!この電球。

アースが常時とブレーキ時にそれぞれ付いている。
1本で設計しちゃったけど、いいのかなぁ・・・。

常時の反射板は殆ど意味なし。
ブレーキ時の反射板は約8割の照射かぁ・・・。
これなら反射板用にLEDを6個も使う必要ないなぁ・・・。

反射板用のLEDはその名の通り、180°逆さにして反射板に向ける予定だったんだけど、下の2個は正面向けよう。

先ずはパターンにそって再度、埋めてみる。
こんな感じになる。

実際にハンダゴテを握る時は、上記のパターンを裏返した図を用意してハンダ付けしていく。
(こういう時デジタルって便利よね!)


ふぇ〜・・・。

ハンダ付け終わるのに2日間、合計8時間も掛かったよ・・・・。

やっぱこれだけ細かいと大変だなぁ・・・。

このダイオード、なんか根元にふくらみがあって、そのまま入らないのよ(怒)

ニッパで1つに付き4箇所の成形しながらやったもんで・・・。

も〜いや・・・。

しかしだんだんコツが判ってくるものだね。
最初は足を2mm残してパッツンパッツン切ってたんだけど、わざわざスズメッキ線使う段階で、ずれるは浮くは・・・で頭きた。
んで、足切らないで、折り曲げて次の次のパターン位まで持っていくと・・・・とっても楽ちん!
細かな作業はこれに限るな!

反射板用は結局4個、ナンバー用は2個を、それぞれ調整できるように足長にしておきます。

レギュレータの前のコンデンサはスペースの関係で省略しちゃいました。
もうあたしの技術じゃムリだわ・・・。
吸い取り線が見える事から判る様に、何度やり直した事か・・・・。

しっかし、もはやパソコンいじる机じゃないわな・・・。

よっしゃぁ〜!
いっちょ、点灯式といきますか!


すごっ!

あかるっ!

まぶしっ!

目がいたっ!

やりすぎ!?

赤は指向性が強い為、横向いている4個は殆ど見えない。
しかし白の半減アングルだって赤の20度に比べてちょっと狭い15度なんだけど、何?この強烈さ!
ちなみに白の仕様、
電圧:3.6V
電流:20mA
角度:15°
光度:10000mcd(い、いちまん・・・)
こんなんで構成しなくてよかった・・・・。(後ろに付いた人、怒るよな!絶対!)

このつぶつぶ感は好みの問題もあるけど、テールレンズで覆うから、ちょっとは拡散すると思うのよね。
もし指向性が強すぎたら、全部の頭、ヤスリで削るべぇ・・・・。

基板はこのまま組み込む予定の為、全配線を覆うようにエポキシ樹脂で固める。(念のため一日以上の乾燥が必要です!)
ただレギュレータの留め金というかヒートシンクの部分だけは出しておく。

さて、机上テストを終了して、水をぶっ掛けても大丈夫な程ほどエポキシ攻撃した処で、早速に実装テストに入る。
テールレンズを外して電球を引っこ抜き、取り合えず電極を差し込んでみる。
あれ?
ブレーキLEDは「ほそ細と」点いたが、常備燈が点かない・・・・。
「ほそ細と」の意味は、バッテリーが上がっていてアイドリング分で光っているから・・・・・。

あっれぇ〜??
なんで常備燈が点かないの?
接触不良起こしてるかな?
と机上に戻りテスト・・・・OK。
何でや??

インターネットで「スクーター&レギュレータ」で検索すると「交流」という言葉が目に付いた。
交流?何でや?バイクが交流な訳ないじゃん!
って思いながら「スクーター&交流」で再検索。

「交流でも大丈夫!新発売のHID!」って何?
もしかして・・・・バイクに交流ってあるのかもしれない・・・・・。
DIOのサービスマニュアルを取り出して配線図を眺める。眺める。眺める・・・。

え〜とぉ〜・・・・これ見ると、たぶん緑がグランドだよなぁ・・・。
緑/黄ってバッテリーから来てるよなぁ・・・。
でも黄ってジェネレータとレギュレート・レクチファイヤとの間にあるよなぁ・・・。
つまり常備燈はジェネレータからレギュレート・レクチファイヤ通してるよなぁ・・・。
じゃぁ直流じゃん?(オシロ持ってる訳ないし)

え〜い!聞いちゃえ!困ったときの0120−112010

数分後・・・判ったよ・・・・。
配線図では黄はレギュレート・レクチファイヤを通している様に見えたが、実はレギュレータしか通してないそうだ・・・。
つまり「常備燈はジェネレータの交流をレギュレートだけして整流せずに使っている」そうだ。
ちなみにビックリしたのが、その黄線を追っていくとヘッドライトに行き着くのよね!

「交流でも大丈夫!新発売のHID!」の意味がやっと理解出来たよ。
DIOってヘッドライトもテールライトも交流じゃん!!・・・・そうだったのかぁ・・・・・。

さぁて・・・どうしよっかなぁ・・・・。

再び配線図を眺める。眺める。眺める・・・。
う〜ん・・・・赤はバッテリーとして黒はイグニッション接続時のマイナス相当だなぁ。
でもこの黒を基準に各種スイッチに接続しているからフロント回りは黒からスイッチ、そして緑に流れている。
なるほど。
という事はこの黒をテールまで引き摺ってきて常備燈のプラスとし、そのまま緑にマイナスすればいいんじゃない?
そしたらもう整流済みだし。(E−153とかアキバまで行かなきゃ無いし・・・)

ってな事でフロントのバラシに入る。
DIOをこれだけ一気にヌードにした事もないな。

テスターで計ると確かに黒がキーオンで繋がる。
よし!決定!!
ここから分岐圧着で取り出して、そのままテールまで引きずっていこう!
これに常備燈のプラスを付けていると、ピカッ!!やった!!

テールレンズはすでに外していたので、電球をソケットごと外し、穴が開いた状態にする。
工業用特殊両面テープを張った基板をテールレンズに貼り付け、穴から配線を出す。
でも振動でズレるのがイヤなので念のためにエポキシ樹脂で固める。

配線の接続は面倒なのでニッパで切断して、
1:常備燈=フロントから摺ってきた配線
2:ブレーキランプ=緑/黄
3:グランド=緑
にそれぞれハンダ付けする。

それを
1:常備燈
2:ブレーキランプ
3:グランド=緑
の順でビニタイで纏めていく。

(触るとブレーキLEDが光ります→)
テールレンズを被せてみる。
レンズが思ったよりも拡散しているのでLEDの加工はしない事にした。
反射板用に左右に4個向けたLEDが思ったよりも効果がなさそう。
だからこれらも正面から40度程左右に向けた方向に修正。
晴天の昼間でもこれだけ明るいので問題ないでしょう!
さすがにナンバーライト(白色)は夜になってみないと判りません。

完成!!
夜が待ち遠しい!!
車関係の改造やデコレーションでこんなにワクワクしたのは20年ぶりかしらん!?

(触るとブレーキLEDが光ります→)
さぁ、夜になりました!
ここまで子供もおか〜さんも総出で手伝ってくれました。
だからみんなで見守ります!

先ずはフラッシュ有りから!
みんなしてワクワク!
子供「あ!ちゃんと光ってる!」(光らないと危ないでしょ!)

完璧な光量です!問題ありません。
LEDのみの時は直視出来ないほど眩しかったので、実は水平から3度程下に向けています。
だからまったく真っ白になってはいないようです。
しかしそれでもまだ中心部が白いですね。
もっと間隔を空けてゆったりとしたレイアウトにしても大丈夫のようです。

(触るとブレーキLEDが光ります→)
いよいよ暗闇での撮影です。
しかし!カメラの特性を知らないとこうなるようです。(→)

ブレーキ時の光量が多すぎて勝手に絞りを調整してしまったようです。
光量の比較は残念ながら出来ませんが、同じ角度・大きさですので光源範囲を参考にして下さい。

ナンバーライトも完璧に照らし出されています。
(ブレーキ時の写真ではその白色さえ絞り込まれている!)

肝心の消費電力ですが、バルブランプが、
常時:5W
ブレーキ時:18W
なのに対して、LEDは、
常時:2.9W
ブレーキ時:7.2W
とトータルで半分以下の省エネとなりました。

製作に掛かった費用
赤LED 1200mcd38個1,133円
白LED 10000mcd2個360円
抵抗 62Ω 1/4W7本7円
電解コンデンサ 25V 100uF2個70円
レギュレータ LM2940CT 12V2個396円
基板1枚240円
合計2,206円

さて、次はリードのテールに掛かりますか!


それから3カ月後、常備燈が点かなくなった。
気にしないまま数週間後、点検でカバーを外してみると・・・
なんじゃ?こりゃ!?(→)

これじゃ点かない訳だ・・・・なんて言ってる場合じゃない。
さっそく原因調査に入ります。

【症状】
・常備燈用のレギュレータが破裂・焼失している。
・コンデンサーとLEDは無事。
・ブレーキ回路は全て正常。
・装着から3ヵ月後に発生している。

【原因予想】
@耐電圧不足による破壊。
A耐電流からくる熱暴走による破壊。
B長時間の通電からくる熱暴走による破壊。

の3つしか考えられない。

【原因究明】
@について。
ア)この3端子レギュレータは最大電圧が26Vであり、通常のエンジン回転数では問題ない。
イ)過電圧であるならばブレーキ用のレギュレータも同時に逝くハズ。
の2点より、この原因は無しと考えるのが妥当。

ABについて。
確かにバイクやアンプなどに使用してるレギュレータは必ずアルミ板などで放熱している。
しかしそこまで危機感を持たなかったのは事実だ。
過電流であれ、長時間使用であれ、発熱する事は間違いない。
破損状態から徐々に焦げたのではなく、一気に破裂したと思われる欠片と瞬時に高熱を発したと思われる焼け跡から、熱の蓄積から破裂に繋がったと思われる。

念のために「困ったときの0120-112010」とバイク屋さんに確認してみる。
両者とも過電圧は関係ないだろうとの結論になり、やはりヒートシンクを取り付けなかった、あたしのミスでした。
また、放熱用アルミをボンドで基板に固定した事も蓄熱の原因であると思われます。

これを教訓に
・出来れば基板から離してフレーム止めしたい。
・それが無理ならヒートシンクを取り付ける。
・空気の対流を考えた加工を考える。
などを実践してくべきだと思いました。

時系列として、Dioはクランクベアリングの関係で残念ながらこのまま眠りに付く事になりました。
ですから具体策の実践はリード編からになります。