我がいちさん倶楽部の全国ミーティングの幹事は2年ぶり。
中部・関西方面への企画は来年のカスペさんに任せて(!?)、今年は北関東から東北へ足を延ばしてみようと計画。
太平洋沿岸に絞って福島県を舞台にしてみようと。
4年前にソロツーで「いわき四倉」から双葉町〜浪江町〜南相馬と北上し、その凄惨な現場を体験してきた。
そしてその報告がてら翌年の全国ミーティングの舞台にしたかったのだが、当時はまだ交通規制が多すぎて・・・・というか、その年末近くに処理施設での放射能漏れが発表され、再び戒厳令が敷かれた事で計画を断念した経緯があった。
あれから4年経過した現在、再び計画してみた訳だが、さすがに直近4年間の経過がどう変革をもたらしているのか?現状が全く把握できていない。
2017年に入ってもプレハブ仮設住宅住まいの方々は、岩手・宮城・福島の3県で約3万5千人余り。
自力再建できた住宅は6割にも満たないという。
放射能汚染の影響で未だに福島県浪江町と双葉町の広域で帰宅困難区域が続いている。
目的としては、観光を遂行する事でほんの僅かでも震災復興のお役に立てれば・・・との思いがあるので、なんらかの思いを馳せるような目的が欲しい。
それは当時の消滅した集落群ばかりではなく、記念碑やメモリアル施設なども含めての事であるのだが、この(全国ミーティングという)ツーリングで一番危惧しているのは、整備された整地や逆に何もない草木だけの沿岸沿いを走っただけでは、単に田舎のツーリングであって、何の感慨も湧かないまま終了してしまうのでは?となる事だ。
そこで再び事前試走をしてみて震災の爪痕や痕跡を追ってみようと。
目標としては10か所くらいのポイントを盛り込みたいと思っている。
ところで、ここまで前振りしておいて何なんだが、バイクが無い・・・・。
5月の連休半ばにいつものバイク屋のおっちゃんに車検を頼んだのね。
そしたら7月の連休直前になって「できたよ」って連絡があった訳さ。
5月の連休からだよ・・・・・。
腕は確かだが時間感覚がムチャクチャなおっちゃんなのは知ってて付き合ってるから、まぁ・・・いいんだけどね。
こっちはこっちで6月一杯を使って自宅の外壁リフォームを実施したもんで(足場を組む関係で)駐輪スペースが無かったから丁度ラッキーではあったんだけど・・・。
それにしても時間を掛けたぶんだけ暇みて弄ってくれたようで、キャブのオーバーホールにフォークのオイル交換にエンジン腰上の調整までを「趣味のバイク弄り(!?)」でやってくれたみたい。
これで重量税・強制保険料全てコミコミで57,000円らしいから2か月半待たされる甲斐はあったってもんか・・・・。(にしても商売感覚もデタラメなんだよな!)
ところで首都高から「オタクはほとんど利用してないから3000円分貯まったポイントは全て破棄するからね!7/17が最終日だからね!」と脅迫文が届いていた。
そう言われるとなんだか惜しい・・・・んじゃ最終日までに使ってやるか・・・・って事で7月の連休である15日〜17日を使って決行する事とした。(と決めたのが7/9という気まぐれさ!)
しかし現在の体重と体力と・・・ダイエットの関係でまるで初めて乗る乗り物みたいになるんじゃないのかなぁ・・・・。
体験せずにいきなり600km走破するのはヤバくね?・・・・って考えて念のために一泊を計画して具体的なルートの検討に入る。
全国ミーティングの本番は茨城県の大洗に向けて全くの逆走になるのだが、それでもポイントさえ押えておけば何とかなるべぇ。
いわき勿来ICからR6を19.5km進んだ「飯田交差点」を右折して県26へ。
すぐに左折してから右折して県48へ。
県48→県15→県382を9kmで塩屋崎灯台通過後700mで廃校となった中学校。(ポイント@)
その隣には崩壊した住宅群が。(ポイントA)
そのまま県382を海岸線沿いに12km進むとR6とぶつかる。
R6を13km進んだ「桜田交差点」を県356に右折。
すぐに県391になり、県391が2つになり分かれるが海寄りを進むと広野火力発電所前の除染袋現場到着。(ポイントB)
発電所を過ぎたら県391は右折するのでそのままきっかり4.3km直進。
十字路を左に曲がると今回の最大ポイントと思われる全滅した村。(ポイントC)
(〒979-0512 福島県双葉郡楢葉町山田浜蜂作6)
そのまま道路沿いに(県244)を北上すると8.2kmで福島第二原発の入り口のコンビニに到着。
直進すると太田陸前浜街道踏切になる。(ポイントD)
渡るとすぐにR6にぶつかるので右折して2.3kmの「小浜交差点」で潰れていた家。(ポイントE)
その350m先が「双葉警察署前」で廃墟になっていた警察署。(ポイントF)
警察署から直進2.0kmで「富岡消防署北交差点」ここから行き止まりだった。(ポイントG)
ここからは未知の世界。
そこから6.8kmで中央大交差点を右折して県252に入る。
最初の信号(1.4km)を左折して県391へ。
ここから福島第一原発を周回する。
突き当たったら海沿いへ。
県391→県254を10km進むと突き当たるのでR6に戻るために左折。
もうここが浪江町でR6までに分岐する左折を行くと田中前交差点に出る。(ポイントH)
ここから浪江町が町ごと封鎖されていた。
(知命寺交差点に出ちゃったら左折してちょっと戻る感じ)
そこから1.3kmの浪江ボウルの横に船が打ち上げられたまま。(ポイント9.5)
そこから6.6kmでクルマ屋と民芸店に出る。(ポイントI)
そこから300m先の大井交差点を右折してR260に入った1.1km先がヤマザキ(ポイントJ)
(大井交差点:〒979-2103 福島県南相馬市小高区大井深町:37.563467, 141.002389)
そのまま直進850mで計測器前。(ポイントK)
左折して県260→県74を31.4km北上すると相馬駅付近のR6に出る。
3kmで相馬ステーションホテル到着。
と、ここまで練った時点で改めて福島県関連のサイトをいろいろと調べていたら、大変な情報を得てしまった。
R6は昨年末までに全線開通したつもりになっていたのが、それは四輪車だけ(しかも窓を閉めた状態らしい)で二輪車は未だに規制が掛かっているらしい。
【福島県警察本部】
帰還困難区域は、特別通過交通制度に基づき、関係する市町村から通行証の発行を受けた自動車(四輪)を除き通行が制限されていました。
平成26年9月15日から特別通過交通制度の運用が変更になり、帰還困難区域内の国道6号及び県道36号(小野富岡線)については、自動車(四輪)の通行の制限が解除されました。
また、平成27年2月28日から、帰還困難区域内の国道288号及び県道35号(いわき浪江線)についても、自動車(四輪)の通行の制限が解除されました。
ただし、自動二輪車、原動機付自転車、軽車両(自転車含む)及び歩行者については、引き続き通行が制限されていますのでご注意願います。
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ということらしいのだが、国交省のサイトを見ても古い記事ばかりで不明確この上なかったので、直接福島県警交通規制課へ電話して、二輪車における常磐自動車道の規制ICとR6の富岡町側と浪江町側の具体的な規制ポイントの住所を聞いた。
それによると、
南側:双葉郡富岡町大字本岡王塚158-1
北側:双葉郡浪江町大字高瀬字小高瀬原118-1
ということで、こうなるらしい。(→)
先ず、南側(富岡町側)は「富岡消防署北交差点」であり、4年前に追い返された封鎖場所と全く同じ地点であった。
そして北側(浪江町側)も全く同じ場所での規制が敷かれている事が判明。
おいおい・・・4年前から何も変わってないじゃないか?
結局、二輪車は2011年3月11日を境に6年間以上も通行できない状態が続いているという事だったのか。
二輪車にとってR6は未だに分断されたままという事で、富岡町側で周回し、常磐自動車道に戻って北上し、浪江町側で再び周回という事態になりそうだ。
まぁ、それでも4年前は常磐自動車道自体も通行不可状態であった訳で、たった14km区間の通過のために東北自動車道まで戻って220km掛けて迂回するというムチャクチャなルートしかなかったので、それを思えばかなり楽になったって事か。
早速迂回ルートを検討するために最初からやり直し!
先ず(北上する際には)ポイントGの双葉警察署まではそのままでOK。
双葉警察署前交差点を左折して県112を北上して常磐富岡ICへ。
次の浪江ICまで16分17km。
降りたら交差点を右折してR114へ。
4.9kmで「知命寺交差点」に到着するので右折すればポイントHだ。
以降、ポイントKまで通行可能だ。
ありゃ、全部回れるわ・・・・ってか当たり前か、4年前と同じルートなんだから・・・・。
と、またまたここまで練った時点でフッと思った。
そうなるとやっぱり本番と同じ環境でリハーサルやりたいなぁ・・・・と。
これまでは3連休の初日の土曜日にバイク取りに行って、その足でライコランド行ってダイエットの代償であるジャケットとパンツを買い直して、ナビのセッティングやら荷物の整理やらして、日曜日に出発して北上して相馬で一泊して月曜日に帰ってくる予定だった。
しかし準備やら買い物やらを金曜日までに済ましておけば、土曜日の午前中にバイクを取りに行って、そのまま出掛ければ、その日を相馬で一泊して、翌日の朝から南下できるのでは?と考えた。
さっそく計画してみよう。(って、もうあと4日後なんだよなぁ・・・)
先ず宿泊だが、ポイントKから相馬のホテルまで34kmはR6を北上するだけだったので、これを省略できないか?と考える。
ある程度の台数で安全を確保しながら、ランチは食べたいとか・・・・になると時間が足りないのでは?
そこでポイントKに一番近いICである南相馬ICを中心に一番近いホテルを探してみた。
地域性から例えば本番で前泊したい希望者が出た場合にそのまま紹介できる可能性もありだし。
楽天トラベルでステップインはらまちを発見。
一泊5,800円は安いな。
南相馬ICから7.5kmだし。(集合は南相馬ICに決定だな!)
これを元に以下に今回の下見用の日程を立ててみた。
【2017/07/15】
10:00 バイクを取りに行く
11:00 点検後に準備開始
13:00 出発
16:30 南相馬IC着
17:00 ステップインはらまち 到着
18:00 近所の割烹へGO!(これが一番の楽しみだったりする!)
【2017/07/16】
08:00 朝食
09:00 出発
R6南下3.4kmで県262(小浜)の看板を左折。
2.4kmの突き当りを右折して県260へ。
09:30 2.2kmで計測器の交差点到着(ポイント@)
850mでヤマザキ(ポイントA)
1.1km先がR6の「大井交差点」で左折。
(大井交差点:〒979-2103 福島県南相馬市小高区大井深町:37.563467, 141.002389)
300m先にクルマ屋と民芸店。(ポイントB)
10:30 田中前交差点
8.0km戻った知命寺交差点まで戻った200m先が「田中前交差点」(ポイントC)
そのまま直進してバイク規制区域までR6(ポイント4.5)
11:30 浪江IC到着
12:00 常磐富岡IC到着
左折して県36から県112を(県36は二輪は封鎖状態)5.3kmを左折して700mでR6の「双葉警察署前交差点」へ。(ポイントD)
警察署から直進2.0kmで「富岡消防署北交差点」ここから行き止まり。(ポイントE)
戻って「双葉警察署前交差点」の350m先に「小浜交差点」で潰れていた家。(ポイントF)
そこから2.3kmの「太田交差点」を左折して県244へ。
13:30 太田陸前浜街道踏切到着
260mで「太田陸前浜街道踏切」(ポイントG)
450mで福島第二原発の入り口のコンビニに到着。(ポイント8.5)
そのまま7.1kmで県244が終わって県162が2本に別れるので左側の県162を600mで踏切のある交差点があるので(踏切と反対に)左折。
14:00 全滅の村到着
450mで今回の最大ポイントと思われる全滅した村。(ポイントH)
(〒979-0512 福島県双葉郡楢葉町山田浜蜂作6)
2つ目の交差点が県391なので右折して3.4kmで県391が2つに別れる。
火力発電所の煙突が見えるのでそこを左折して発電所方向へ。
発電所を過ぎると除染袋現場到着。(ポイントI)
14:30 除染袋現場到着。
そのまま県391を道なりに3.3kmでR6の「桜田交差点」なので左折。
R6を13.0kmの「四倉舞子浜入口交差点」を左折して県382に入る。(塩谷埼灯台の標識が出ている)
そのまま県382を12.0kmで海岸沿いに崩壊した住宅群。(ポイントJ)
15:30 崩壊した住宅群到着
その隣が廃校となった中学校。(ポイントK)
16:00 県382→県15→県48から「いわき勿来IC」へ。(28km)
18:30 到着。
【2017/07/17】
終日レポート作成
あら?いいじゃない!
という事で、まずはジャケットの購入と宿の予約から開始。
一昨年の全国ミーティングからほぼ1年半近くツーリングしてないものだから、その間に
ダイエットを敢行して体重が−38kgも減量しちまったし、ウェストも−50cm縮まっちまったし。
全部買い直しじゃ〜!(これを嬉しい悲鳴という)
12日(水)は府中での仕事だったので、途中の多磨霊園駅で下車して二輪館に寄ってみる。
(仕事しろよ!)
もう時間がないのであるもので調達しようと思い、店員さんに付いてもらってとっかえひっかえサイズを合わせた結果がこれ。(→)
KOMINE JK−109 2XL(21,000円)
ギアはコミネを使い始めてもう17年になるのか。
お気に入りのメーカーだ。
他の型番やメーカーのはLサイズでピッタリだったのに何故かこの型番だけXXLだったのでちょっと不思議だったのだが、帰宅後に調べてみて納得。
この型番は「Rスペック」というレーシング仕様の裁断を施してあり、空気抵抗を意識して極細ウェストに絞り込んであるのだそうな。
どうりで胸幅はちょっと余裕なのにウェストがピッタリになるハズだ。
これで良かったと思える点が2点あって、
@レーシング仕様なので肩・肘・胸のパットが標準装備である事。
A胸パットが入っているので一回り大きいサイズで丁度良いぶんだけ通常はウェストが大きくなってしまうのだがこれはピッタリ!
KOMINE MH55−272 XL(15,300円)
さすがに真夏の革はやめておこう。
何時だったか熱中症に気づかず高速を降りられなかった記憶が・・・・。
しかし吊るしは安くて嬉しい。
これまでの革パンはサイドの革を広げた特注仕様で12万円もしたのに、これって15,300円だって・・・。(まぁ革じゃないけど・・・)
膝と脛が一体になった硬質パットと大腿にもパットが。
宿は駐輪の関係もあって直接電話で予約。
駐車場は多くR6に面しているが特に盗難などの情報は聞いていないという。
そこで15日(土)の18時以降にチェックイン予定で予約を入れた。
3連休の2日前だというのに簡単に予約できてしまうのも、まだまだ震災の影響なのだろう。
【2017/07/14(金)】
バイク屋のおっちゃんに前日に運び入れてもらう事にした。
車検は仕上げた最終日に取ってくれたらしく(ってか、2ヶ月預けたんだから最初に取ってたら2ヶ月過ぎてるし!)バイクをトラックに積んだままだとの事なので、そのまま運んでもらったのだ。
車検通過での問題点は無し。
ただしライトが弱くなってるから次回はリフレクター交換とのこと。
またキャブは完全に腐っていたらしく「2年間で1000kmって、そりゃ腐るよ・・・」と呆れられた。
キャブのオーバーホールにタンク内の燃料を全部抜いてハイオク仕様にセッティングしてあるとの事。
これだけエンジンを回さないならハイオクにしないとまた燃料系を腐らせるから・・・・らしい。
って事で、なんか
あたしの”いちさん”ハイオク仕様になっちまった!
タイヤは随分換えてないなぁ・・・「たぶん4年くらい換えてないよ」とおっちゃんに伝えていたのだが、改めて整備記録を見直すと、なんと!7年間換えてない!
すぐにおっちゃんに伝えると「そもそも走ってないから減ってない」のと経年劣化については「これで峠を攻めるとちょっと滑るから止めたほうがいい、ただ高速を巡航するなら問題なし」との事だった。
タイヤは2本で(工賃も含めて)6万円の世界だからとりあえずは助かった。
まぁ、どのみち交換せざると得ないけどね。
【2017/07/15(土)】
晴天。
なんだよ?この太陽は!この暴力的な暑さ(痛さ)が辛すぎだ。
こんな日にジャケット着込んでバイクに乗るヤツはバカなんだな・・・・。
10:00
朝から準備しているところへ届いた!今回の重要ツールが!
実は今回バイク用ナビを使うのをやめようと思っている。
何故ならばiPhoneの無料ソフトであるYahoo!ナビのほうが性能が高い事を知ってしまったから。
そりゃネットの地図だ、最新なハズだわな。
Myルートが20件しか登録できないが、普段PCで使っている地図が使えるのは嬉しい。
そこで今日までに全ルートを登録しておいたのだが、問題なのはナビゲーション機能は猛烈に電池を食うこと。
そこで100Vの充電の他にバッテリーを買ってみたのだった。(→)
11,200mAhで一回のフル充電でiPhone6sなら4回充電できるそうな。
今時は2千円で買えるから安いものだ。
これをジャケットのポッケに入れてハンドルまでケーブルを伸ばしてみよう。
そのために編んだ丈夫なUSBケーブルを用意。
ハンドルへはガッチリ固定できるスタンドを用意。
以前、突然の雨でバイク用ナビが真っ白になってしまった経験があるので防水仕様に。
ケースには落下防止フックが付いているので、ワイヤーで台座と連結して完了。
100均で買ったトラベルセット。
このタオルすげ〜!
水に濡らすとでっかくなって緊急時なんかのウェスにもってこいだ。
案外うまく準備が進んだので、ちょっと早めに出て、ホテル到着後に明日の前半部分を回ってみよう!
10:30
出発。
柏ICから常磐高速へ。
連休初日だってのにガラッガラ。
東名や関越はすでに30kmの渋滞らしいので東北方面へ向かう人は殆ど居ないという事か?
千代田PAで休憩。
出発してまだ一時間だがもう水分補給が必要だ。
お〜!
久しぶりに愛しいいちさんの勇姿だ!
相変わらず美しいボディラインだよ。
それにしても取り回しが軽い!!
いちさんの加速ってこんな凄かったんだ。
こんなに速いバイクだったのか!
やっぱり38kgの軽量化はすごいな!
日立を過ぎて福島県に入った「いわき」から片側1車線の対面通行となる。
この区間が嫌いだ。
だって自分の後ろに付かれると速度を上げざるを得ないからだ。
この区間は70km/h制限だというのに頭のおかしいやつが多くて辟易する。
だから「福島県災害復興車」と書かれたダンプ群が70km/hで走ってると手を叩きたくなる。
このあたりからトンネルが多くなるのだが、そのトンネルを抜ける度に体感温度が低くなっていく。
いや、正確には温度は変わらないのだろうが、湿度が激減していくのだ。
前回も感じた事だが、茨城県と福島県の堺あたりから急激に湿度が低下して過ごし易くなる。
気持ちのいい暑さになる。
15:00
柏ICから243kmで南相馬ICに到着。
やっぱり遠いよ・・・・。
例の如く大型車両の後ろで80km/h走行とはいえ4時間半も掛かってる。
この時期こまめな休息が必要だからね。
県12を右折し、原ノ町方面へ。
南相馬市役所を左折してR6へ。
15:30
「ステップインはらまち」に到着。
チェックイン後まだ時間があるので北部セクションを回れるだけ回ろうとすぐに出発。
8.1km南下すると大井交差点に出るので左折。
もう交差点の手前から「あ、ここだ」と判るくらいに地形は変わっていない。
その500mのところにあったクルマは無くなっていた。(まぁ、当然だわな)
(4年前の同じ場所→)
半壊していたヤマザキは整地されていた。
(4年前の同じ場所→)
この路地もきれいに整地されていた。
(4年前の同じ場所→)
空間線量計はそのまま設置してあった。
4年間で線量は半分近くになっている。
(4年前の同じ場所→)
R6に戻って300mのところにあった民芸店も無くなっていた。
(4年前の同じ場所→)
その裏に放置されていたクルマも片付けられている。
津波で全部持っていかれたクルマ屋も同様に整地されていた。
(4年前の同じ場所→)
北側から南下するR6の通行止め地点。
前回は全ての車両の通行が禁止されていたが、3年前の9月に開通した。
しかし二輪車は依然通行止めのままで、その規制のために要員が配置されている。
(4年前の同じ場所→)
このお兄さんの話によると来年には二輪車も走行できるようになるのではないか?との事。
しかし被爆した汚染土壌に関しては「現実もう取り切れない」状態であり、この先30年間は続ける必要があるのではないか?と言っていた。
別れ際に「気をつけていってらっしゃい」と言ってくれたが、逆にこの帰宅困難地域の限界地点で交通規制している君のほうが気をつけて!と言いたくなってしまった。
ご苦労様です。
まだ一部では撤去しきれない船舶などもあり、辛うじて固定するのが精一杯の状態だったりする。
こうしてみると整地されただけまだマシな感じもしてきた。
この辺は海抜5メートルなのだが、相馬市の津波の高さは9mだったので(単純計算で)この上4mほどの高さまで海水で満たされた事になる。
国道の両脇には多くの汚染土壌が未回収のまま放置されている。
17:30
15:30より周りだした北部セクションだが、2時間で全部回ってしまった。
地図を見ることもナビを確認する事もなく、完全に地形が頭に入っている。
当時とほとんど変わっていない地形に加えて、その全体像が脳に刻まれてしまうほど衝撃的な光景が広がっていたということなのだろう。
バイクを置いてシャワーを浴びてから着替えてフロントへ。
がめ「歩いて行ける小料理屋か割烹ありませんか?」
ホテル「歩いては・・・無いですね」
がめ「原ノ町駅まで行けばいろいろあります?」
ホテル「ええ、でも2kmちょっとありますから歩いてはちょっと・・・」
がめ「2km?散歩にも満たない距離ですわ」
ってことで歩いて原ノ町駅まで。
料亭は見つからなかったが魚系の居酒屋があったので、今宵の宴を堪能する。
今日は300km走ったので疲れからかすぐに酔ったみたい。
さっさとホテルに帰て寝る・・・・。
【2017/07/16(日)】
朝の4時に目が覚めちまった。
ジジイだな・・・・。
国道沿いの裏側にも駐車スペースがあり、建物に隠れたかたちで駐輪ができるので有り難い。
部屋の窓からも見えるので安心だ。
6:00の朝食まで出発準備をしながらテレビを見て時間を潰す。
南相馬チャンネルという局を見つけた。
番組中に放射線量を表示しているテレビはこの地方しかないだろうな・・・・・。
前回同様にここでちょっとお勉強をしておきましょう。
文科省指定の「人体が浴びてもよい放射線量」は1〜20mSv/年。
(元来は1mSvであったが今回の東日本大震災で20mSvまではOKとなった。いい加減な国政ではあるが、逆にそうでもしないと福島県そのものが地図から消えてしまう事になり兼ねない惨事だったのである)
最新の南相馬市役所の線量は0.103uSv。(ナノシーベルト:ミリシーベルトの1/1000の量)
簡単には1時間あたり0.103という値の放射能が降り注いていますよ!って事なのだが、年間1mSvを基準値とすると、
1000/0.103/24=404
で、市役所前で1日24時間外で立っていても404日間は問題なしって事。
これはもう365日過ぎちゃってるので、つまりはここに住んでいても問題なし!と言っている訳だ。
原発とは関係ない、宇宙放射線のような自然界にもともと存在している自然放射線の量は、例えばこれを執筆している時点(2017/07/17)での、東京都新宿区では0.04uGy/h(マイクログレイ)=0.05uSv/hを計測している。
つまり南相馬市に降り注ぐ線量の半分は全国どこに居ても常に被爆しているという事。
まぁ、逆に都内の2倍の被曝量という言い方をするとちょっと嫌な言い方になるが、それでも国の最低基準値にも満たないのだから気にすることはないのである。
6:30
チェックアウト。
昨日で北部セクションを終了してしまったので、いきなり常磐道へ戻る。
こんな事なら宿泊を南部セクションにしておくんだったな。
まぁ、予定の無い小旅のようなもんなんで気にしないが・・・・。
常磐道ではこのように「二輪車はここで降りても走れませんよ!」と警告している。
全ての封鎖道路の封鎖地点で24時間監視員が居る(完全封鎖区域は除く)のだから一体どれだけの経費が掛かっているのだろう。
同様に放射線量の掲示。
(シャッターのタイミングで数値が見えない・・・)
34km南下した「常磐富岡IC」で降りて双葉郡富岡に向かう。
途中で何度もこうした道路封鎖に出会う。
半壊したビルの撤去解体も今だに遅れている状態。
野生化した動物とは犬猫を指しているのだが、もうすでに世代が変わっていて完全に野生での生まれになっている状態であるためにこうした警告が出ている。
08:00
R6を左折して1.0km北上した富岡消防署北交差点が南部セクションの最北地点。
ここでも旗を振られて停車指示。
解ってますよ〜!解ってここまで来てますよ〜!
と、会話する。
「写真撮りますよ」と言うと「何処を撮りますか?」と聞かれたので「全て撮ります」と返す。
すると小さな声で「余り目立つと警察が来ますんで」と言われる。
あぁ・・・4年前と何も変わってない。
うんざりするほどの職質を受けながら撮影するあの苛立たしさはそのままのようだ。
(4年前の同じ場所→)
Uターン直後のバス停。
前回はここまで2人乗車の覆面パトカーが後ろを付いてきて監視されていた。
本当に腹がたったので居なくなるまでわざと写真を撮りまくっていた事を覚えている。
(4年前の同じ場所→)
そこから1.9km南下したところに、その小賢しい双葉警察署がある。
4年前は廃墟と化していた警察署も復活しているようだ。
前回は「廃墟の警察署なんてバイオハザードみたいだ」と書いたのだがよく復活したものだ。
(4年前の同じ場所→)
崩壊した住宅も整地化されていた。
(4年前の同じ場所→)
歩道橋そのものが撤去されていたので暫く探し回ってしまった。
このパチンコ屋は再建を諦めたようだ。
前回とは反対のルートを走っているので看板が新鮮だ。
R6の太田交差点を県244に逸れるとあの踏切だ。
まさか鉄ちゃんに写真をリンクされるとは思っていなかったので、後からボツにした写真もアップした記憶がある。
さすがに草に覆われている状態ではないようだ。
(4年前の同じ場所→)
反対側も。
(4年前の同じ場所→)
ありゃ?
しかしよく見ると遮断器に竿が無いぞ!?
もしかしてこの線路まだ開通してないのか?
と調べてみたら、今年になってやっと代行バスの営業が始まり、鉄道の開通は2020年だそうな。
まだ動いていない踏切だったんだ。
福島第二原発入り口にあったコンビニはきれいに無くなっていた。
この先500mで原発敷地になる。
前回は、散々ぱら警告が出ていた看板を無視して進んだ挙句に、警備員と警官に囲まれ職質を受けたところ。
暑いし、面倒だし・・・・もう行かない・・・・・。
おっ!
よく見ればいちさん光ってんじゃないの!
かっこええわぁ〜!ぼくのいちさん!
4年前は通れた道路が今回は封鎖状態という場所が何箇所もあり、復興のための作業が続いていると思われる。
ここも迂回か・・・・まぁ・・・仕方あるまい・・・・。
知らない道が多くなり、ナビが離せない。
しかしこのスマホナビは秀逸だ!
タッチパネルも手袋で可能だし、YAHOO地図は見やすいし、何よりも操作が直感的なのがよい。
出た!
ついに未舗装道路。
汚染土壌が山積みだ。
こんな近くに積み上がっていたら「危険」も「近づくな」も無いだろうが・・・・。
08:30
さて、今回最大の注目ポイントであった「消滅した村」だったのだが、完全に撤去されていて何も残っていなかった。
この左手には崩壊した住居が点在していて、それは目を覆う様だったのだが、おそらく整地後に生えた草木がその様相を一変させたのだろう。
(4年前の同じ場所→)
(4年前の同じ場所→)
(4年前の同じ場所→)
(4年前の同じ場所→)
ただ単に静かな田園風景になってしまっていた。
遠くに見えるのは広野火力発電所。
ところがバイクから離れてグルッと一周してみたら、一件だけ当時のままの建屋があった。
(4年前の同じ場所→)
前回は気づかなかったのだが、BIG-1がナンバー付きのまま埋もれていた。
え〜?何故気が付かなかったんだろう?
(4年前の同じ場所→)
って、調べてみたらやっぱり写ってないじゃん!?
何処から現れたのだろう?
広野火力発電所まですぐそこ、って所でまただ・・・。
迂回後に広野火力発電所門前。
汚染土壌回収現場だったところ。
(4年前の同じ場所→)
(4年前の同じ場所→)
県391からR6まで出てから30km南下して県382に入る。
綺麗な海岸線だ。
いくら震災の津波とはいえ海に罪はなし。
はいはい・・・・。
前回は普通に通れたんだけどなぁ・・・。
09:00
そしてここが第二のポイントであった「消滅した住宅街」なのだが、ここもきれいに整地が進んでいた。
綺麗な更地なので直に建築が始まるように思える。
(4年前の同じ場所→)
左手は海岸なのだが護岸工事で土盛りされている。
住宅から海が見えない仕様になるようだ。
(4年前の同じ場所→)
グルッと一周したところ。
右が海で、海岸と宅地が土手で仕切られている。
仕方がないのかもしれないが、これでは海岸線に宅建する意味を感じない。
10:00
県48で横断する形で常磐自動車に合流し「いわき湯本」から南下して帰路へ。
途中で昨晩の寝不足(?)からかなりの睡魔が襲う。
50km南下した「中郷PA」で最後の休憩。
眠気覚ましに今回初めてのリミッターごっこへ。
これで今回買ったジャケットの欠点が見えてしまった。
ウェストが細く、そのぶんだけ一回り大きいサイズを選んだのだが、それが失敗のもと。
胸周りに余裕があるぶんだけ、140km/h以上では風を巻き込んでバタつくのである。
180km/hではもう視線が定まらないくらいに身体が揺れ始める。
これ・・・・何処がレース仕様なんだよ?
あっ、そうか・・・ウェストが細くて胸が大きいマッチョな筋肉野郎向け・・・・って事か?
このジャケット着ている限り140km/h以上で走れない。
どうしよう・・・・。
14:00
無事に帰宅。
蒸し暑さで倒れそうになりながらも「ここで止めては絶対に明日は動けない」とすぐに洗車。
風呂入ってビール飲んだらそのまま倒れるように倒れて爆睡!
高速代:6,330円
燃料代:6,394円
食事代:9,623円
宿泊代:5,800円
総費用:28,147円
総走行距離:593.7km
燃料消費量:35.86L
燃料消費率:16.56km/L
【最後に】
今回の試走はソロツーである事もあっていろんな人と話してみた。
福島県警への電話インタビューによると、この一連の交通規制は県市町村レベルの法規ではなく国交省の超法規によるものであり県下での権限も発令・発動も全く無いとの事。
しかしながらこの6年間を鑑みるに、2017年7月現在の規制が9月になって変更される気配は全く無く、現状のままの交通規制を想定してもらって構わないと言う。(福島県警本部交通規制課)
インタビューの最後に「6年経ったとはいえまだまだ住民の苦労と疲弊は避けられない状況です。こうして少しでも多くの方から問い合わせを頂き、現状を見て貰える事は私たちもとても嬉しい。運転に気を付けて是非お越しください」と締めてくれた。
地元のいち県警職員でさえも、いきなり電話をしてきた県外者に対してこうした歓迎の意を述べる姿勢に頭が下がる思いだ。
被災した誰もが一丸となって懸命に生きている、生きようとしている姿に感銘を受ける。
そうした出迎えに応えるために我々は何ができるのだろうか。
先ずはこうした被災地巡りをメインに据えたツーリングにおいて、一番肝に銘じるべき事は「常に人の痛みを感じる続ける事」と考える。
某新聞に被災に遭われた方の投稿で「考えてみてほしい」という題名の記事が以下の内容で掲載されていた。
被災後数年が経って観光客が訪れるようになった。
地元としては復興の足がかりと喜びながら奮闘していたある日、若者達が被災(全壊)した母屋の前で笑いながらピースサインで記念写真を撮っていた。
歯を食いしばって懸命に生きている自分たちが上から目線で愚弄されているようで涙が止まらなかった。
少しだけでいいから考えてみてほしい。
もし自分が幼少の頃から過ごしてきた家が災害で全壊し、何年も仮設住宅に住み、新たな生活を求めながらも2重ローンの重圧で踏み出せない時、直前まで生活の日々を送った家から何も運び出せないままにさらけ出されている状態を、怖いもの見たさで訪れた人たちが、笑いながら覗き込んで写真を撮って満足げに帰っていく。
自分たちは何のためにここに踏み止まっているのか?
悲惨な現実に無縁な人々に笑われる為にここで生きているのか?
悔しくて情けなくて涙が溢れる。
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・・・・・と。
だから今回の集会もそうだし、関係なく読んでくれた方々にもお願いをしたいのだが、決してやってはいけない事。
写真を撮るのは構わないが、ピースサインはしないこと。
笑顔で撮影するのは構わないがハシャがない事。
特に崩壊住宅の撮影時には最新の注意をし、お焼香やお祈りをささげるくらいの気持ちで接する事。
まぁ・・・・大人として当たり前の礼儀なだけなんだけどね。
おしまい。
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